牛乳を温めても膜ができない方法とちょうどいい温度について

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牛乳はレンジで温めると表面に膜が張ることが多いと思いますが、昔からあの膜が嫌いで牛乳を温めるのは、どうも足踏みしてしまいます。

今回はそんな膜がどうやったら防ぐことができるのか、さらに牛乳とは何か、最適な温度は何℃かを調べてみました。

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牛乳とは

まず初めに何気なく使っている牛乳ですが、スーパーなどでは色々な週類が売っているので説明します。

生乳

店頭では販売されませんが牛乳の元となるもので、乳牛から絞ったままの殺菌などしていない状態のもの。このままでは販売はできません。

牛乳

生乳を100%使用して成分を変えることなく加熱殺菌処理したもの。特に成分は変えていないため、季節により成分が変わります。

クリーム

いわゆるケーキなどに使う生クリーム(純正クリーム)のこと。遠心分離などで生乳から脂肪を分離したものです。ちなみにホイップクリームは植物性の油を加工したもので成分、味ともに異なり、泡だてた生クリームを冷凍する技術は確立されておらず、泡だてて冷凍された商品は全て特別な加工をされたホイップクリームです。

バター

クリームを激しく攪拌することでできる固体。その時に一緒にできる液体はバターミルクと呼ばれる。

脱脂乳

生乳から脂肪分(クリーム)を取り除いたもの

練乳

牛乳または脱脂乳を加熱濃縮したもの。売られているのは砂糖を加えた加糖練乳

特別牛乳

殺菌をしないで販売できる牛乳で、認可を受けた専用の施設で一貫生産して作られる。成分規格も牛乳とは異なる。

成分調整牛乳

生乳100%から作られ、生乳から脂肪や一部の成分を除去したもの。脂肪分の量などにより低脂肪乳、無脂肪乳と区別されている。

低脂肪牛乳、無脂肪牛乳

成分調整牛乳と同じで生乳100%から作れているが、成分調整牛乳よりも脂肪分の量などが除去されたもの、程度により低脂肪乳と無脂肪乳に別れる。

加工乳

乳原料を使い製造したもの。主に乳成分を増減した低脂肪乳や特濃牛乳などがある。

乳飲料

生乳や牛乳を原料とした飲み物。脂肪分などに定義があり、ビタミン、ミネラルを強化した栄養強化乳やフルーツ果汁を加えたいちご牛乳などがある。

その他情報

これらの牛乳類(特別牛乳は除く)は必ず殺菌をしなければならず、省令により「63℃で30分殺菌同等以上の加熱殺菌が必要」とされ、日本では120℃以上の温度で2秒程度の加熱殺菌が主流となっている。しかし加熱温度が高いと濃厚感が強く、いわゆる牛乳臭が強く出るため牛乳が苦手な人がいる。そのため低い温度で時間をかけて加熱殺菌をして癖のないさっぱりとした商品もある。

海外では2リットル以上の大型ペットボトルで販売していることが多いが、日本では2007年に販売の許可が出ているが、細菌の増殖などの心配から業界の自主基準で720ml以下の容量でしかペットボトルは使用していない。

牛乳の成分

牛乳の成分は大部分が水分(87%)で、糖質(4.7%)、脂肪(3.7%)、タンパク質(3.2%)、ミネラル・ビタミン(0.7%)、その他微量の順で含まれている。

糖質はほぼ乳糖と呼ばれるもので存在し、ミネラルはカルシウム、リン、カリウムが多く、ビタミンはA、B2、B12、パントテン酸が多い。牛乳には骨に重要な作用があるビタミンDが少ないため、欧米では牛乳にビタミンD加えて強化をしている。

牛乳に含まれるタンパク質は温めて酢などを入れた時固まるものがカゼインと呼ばれ、残りの黄色味がかった透明の液体のタンパク質の大部分をホエイという。

カゼインは牛乳のタンパク質の80%で、数種類あるが熱に強く、牛乳の白い色はカゼインの色である。

ホエイは牛乳のタンパク質の10%で、数種類あるが熱に弱く、このホエイタンパク質が牛乳の膜に関係している。成分の実験では56℃になると分解され始めて、63℃くらいから急激に分解し減少している。また市販のヨーグルトを開けた時に透明な液体が表面にあるが、その液体はホエイタンパク質が浮いてきたもののためよく混ぜ食べるほうがいい。

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牛乳の膜

本題に戻りますが牛乳を温めたときできる膜は、ずばりホエイタンパク質が原因となっています 。牛乳の膜はホエイタンパク質の一種であるラクトグロブリンが核となり、脂肪や糖質を包みながら作られます。

牛乳に膜を作る実験では温度が40℃以上になると表面に小さな膜が点々とでき、その膜が増えて、くっつき大きく広がって一つの膜ができます。この現象には名前がありラムスデン現象と言われ、原理は豆乳でつくる湯葉と同じです。

この現象を詳しく調べると牛乳を温め、温度が40℃程度になってくると水分の蒸発が多くなり、蒸発面である牛乳の表面に牛乳の成分が濃縮されていきます。この成分が濃縮されたときホエイタンパク質が変化し、周りにある脂肪や糖を取り込みながら小さな膜を作り、それらが増え合体して大きな膜になります。

実験データでは牛乳を加熱して目に見えるほどの膜ができ始めた温度は56℃程度で、膜が塊になってできる温度はホエイタンパク質が分解され始める温度に近いようです。

また膜の成分は70%が脂肪で20%が膜を作る上で核となったホエイタンパク質の一種であるラクトグロブリンで出来ています。膜は最初にできた膜を取ると、また2枚目の膜ができます。そして2枚目の膜を取ると、また3枚目と・・・次々に出来ていきます。しかし、この膜は成分が徐々に変化していて最初の膜は上記に書いたように脂肪70%、タンパク質20%で食感はともかく味は濃厚で美味しいです。2枚目以降は脂肪が減っていきタンパク質と糖質の割合が増えていき、甘さが増していきます。

膜の防ぎ方

膜の防ぎかたですが、膜の出来かたから言えば、膜が目に見えるほどできる温度が56℃程度のため56℃以下の温度で温めるのを止めればいいのですが、実際には56℃でも時間をかければ膜は大きくなりますし、多くの人が56℃の牛乳はぬるいと感じると思います。

違う方法としては膜の原因として、牛乳の表面に牛乳の成分が濃縮されることが引き金になるため表面に成分が濃縮しないようにかき混ぜると56℃を超えても膜はできません。これでかなり高い温度でも膜はできないと思います。しかし温度調整のない電子レンジで温めると、混ぜ続けることができないため膜ができやすく、温度が高いほど水分の蒸発が多いので、牛乳の成分が濃縮されやすくなり、かき混ぜるのを止めるとすぐに膜ができます。そのためかき混ぜ続けながら飲めなければ膜がすぐにできてしまいます。

膜の防ぎ方解決方法

実は解決方法はあります。少し手間がかかりますが温度が高くても膜はできません。

その方法は泡立てることです。

牛乳は冷たいと泡立ちにくいので鍋でもレンジでもいいので牛乳を温めます。鍋ならかき混ぜながら好みの温度まで、レンジなら様子を見ながら膜ができないくらいの温度の50℃程度まで温めます。次に泡立てます。道具はなんでもいいですが生クリームを混ぜるホイッパーでは手間と時間がかかるので電動の小さい牛乳用ホイッパーが楽です。簡単なものであれば百均でも売っています。

跳ねるので気をつけながら上下に動かし、空気を含ませてください。温度が高いほど泡立つと思います。鍋の場合は温めながら泡だて必要な温度になったらコップに移しておしまいです。レンジの場合は泡立てて表面が泡で覆われたらもう一度レンジに入れ、好みの温度に加熱します。好みの温度になったらまた泡立てコップに移します。泡は表面に浮いてくるので泡がなくならない限り膜はできません。飲むときには泡だけ飲まないように注意してください。泡がなくなると膜ができてしまいます。また泡立てると口当たりが良くなり美味しく感じられます。またエスプレッソを入れればカフェラテになります。

牛乳の適切な温度

膜の防ぎかたがわかったところで、牛乳に詳しくなったことだしせっかくなので美味しい牛乳の温度を調べました。もちろん温かさは好みがあるのですが成分から適切な温度を調べます。

牛乳の成分で温度が変わって変性するものは、先ほどから出てきているホエイタンパク質です。このホエイタンパク質が変性すると牛乳本来の味とは、違う味になってしまうためホエイタンパク質を変化させないことで牛乳本来の味を生かすことが重要だと思います。

膜の話と同じことが多いですが、ホエイタンパク質は56℃になると分解され始めて、63℃くらいから急激に分解し減少していきます。つまり56℃ならホエイタンパク質が分解されず味の劣化はないと考えられますが、先ほども書いた通り多くの人がぬるいと感じると思います。ぬるい=美味しくないと感じると思うので、もう少し温かいほうがいいと思います。

そうするとホエイタンパク質が急激に分解し減少するとされる63℃が味の劣化が最小限になる温度と言えます。この温度だとぬるいと感じることはないと思います。実際にカフェラテなどのミルクを手作業で温めているカフェなどでは牛乳の温度をこの63℃付近に設定しています。

ということで牛乳の温かい最適温度は63℃です。

まとめ

牛乳の成分により膜のできる温度や時間、厚さなどは変わってくると思います。牛乳の温度が高くなればなるほどホエイタンパク質が分解され味の劣化、牛乳臭の増加が起こります。一度起こると冷めても元には戻らないため注意が必要です。

実際に家では牛乳を温めるときに、膜ができないように泡立てています。泡立てているため以前より美味しく感じていると思います。よければお試しください。

牛乳に関わる記事を書きました。

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