調理における食中毒予防のポイント。「原因、時間、微生物の種類など」

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飲食店、家庭においても夏は食中毒の危険性が高まる季節です。そんな注意しなければならない食中毒の原因を詳しく調べてみました。

(食中毒を起こす微生物には細菌、ウイルス、寄生虫とありますが、まとめて微生物や菌と記入します。)

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食品に付いている主な食中毒微生物

食品別に汚染されやすい微生物を書いていきます。聞きなれない微生物も多いですが後で説明しています。

牛肉、豚肉、鶏肉

腸管出血系大腸菌、サルモネラ(特に鶏肉)、黄色ブドウ球菌、ウエルシュ菌、カンピロバクター、エルシニア、リステリア、E型肝炎ウイルス(主に豚肉)

卵(鶏卵)

サルモネラ、黄色ブドウ球菌

腸炎ビブリオ、サルモネラ、ヒスタミン生成菌、ボツリヌス、ウエルシュ菌、アニサキス、クドア(ヒラメ、マグロ)

二枚貝(カキなど)

腸炎ビブリオ、サルモネラ、ノロウイルス、A型肝炎ウイルス

食中毒微生物の説明

食中毒の原因微生物の特徴、増殖温度、潜伏期間、症状、注意点などを説明していきます。(比較的専門的な内容です。)

カンピロバクター

酸素濃度が5%から15%で増殖することができる。そのため酸素濃度21%の大気中では増殖することはなく食品中や密閉された容器などで増殖していく。

30〜46℃で増殖できるが42〜43℃が最も増殖しやすい温度

生の牛や鶏レバー、鶏肉、豚肉、牛肉などを食べることにより感染する。

潜伏期間は2〜7日で、発症は2〜10日間で症状は下痢、腹痛、発熱、嘔吐など

30℃以下では発育できず乾燥や酸性に弱く、室温では死滅しやすい

特に鶏肉は市販の45%が汚染されているというデータもある。

感染防止のため法律により牛レバー、豚肉は生食が禁止されている。

感染力が強く少量の菌量(500個)で発症することがある。

注意点

鮮度が低いものは血管を伝い内部にまで菌が存在していることがあるため中心部までよく加熱する必要がある。

レバーなどの内臓は他の寄生虫や菌も存在する可能性があるためよく加熱する。

サルモネラ

酸素濃度に関わらず増殖可能

5〜46℃で増殖できるが35〜43℃が最も増殖しやすい温度

卵もしくは卵をつかった料理、豚肉、鶏肉などを食べることにより感染する。

潜伏期間は8〜48時間(平均15時間)、発症は1〜4日間で症状は下痢、腹痛、発熱38℃以上、嘔吐など、高齢や小児では死亡することもある。

特に卵は通常内部は無菌であるが1万個に2.3個(0.023%)の確率で初めから内部に菌がいることがある。ヒビがあるものは外部から菌が入りやすいため注意が必要。

10℃以下の食品中ではほぼ増殖できないがステンレスなどに付着して乾燥しても長期間生存する。

業務用で使うような液卵は61℃で3.5分間加熱することが厚生労働省により決められている。この温度は卵のタンパク質がギリギリ固まらない温度のため、卵が固まるような加熱では菌は死滅している。

注意点

初めから内部に菌が存在している卵は加熱する以外回避することはできない。

ヒビがあるものはそのヒビから菌が内部に入りやすくなるため生食はしないで加熱する。

卵は常温保存可能ですがヒビがないものでも時間が経つにつれ内部に菌が侵入するためできるだけ早めに使い、冷蔵庫で保存するほうが安全。

オムレツの加熱不足やアイスクリームの未加熱などで感染することがあるので加熱しないような調理は新鮮なものを使う方がいい。

腸炎ビブリオ

酸素濃度関わらず増殖可能

10〜43℃で増殖できるが35〜37℃が最も増殖しやすい温度

夏季海産魚介類などを食べることにより感染する。

潜伏期間は4〜96時間(平均12時間)だが多量の菌による感染潜伏期間が短縮し重篤になる。発症は4〜7日で、症状は下痢、激しい腹痛、発熱、嘔吐など

海水に生息しているため1〜8%の食塩で増殖可能、真水では死滅する。

海水温が15℃以上になると海底の泥土から海水中に漂い魚介類に付着するため冬は菌がつきにくい。

真水で洗う、酸性の酢や加熱で調理するなどで簡単に死滅する。

注意点

夏季に取れた魚介類は水道水でよく洗うことで感染を減らすことができる。

黄色ブドウ球菌

酸素濃度関わらず増殖可能

7〜48℃で増殖できるが35〜40℃が最も増殖しやすい温度(10℃以下の食品中ではほぼ増殖できない)

おにぎり、寿司、未殺菌牛乳などを食べることにより感染する。

潜伏期間は1〜6時間(平均3時間)、発症は数時間程度で症状は主に嘔吐だが下痢、腹痛もある。

黄色ブドウ球菌が作る毒素エンテロトキシンにより食中毒が起こり、毒素は120℃20分の加熱でも無毒化できない。

人、動物の皮膚、鼻、喉に存在しているため未殺菌牛乳は絞るときに菌が付着し、おにぎりは素手で握ると菌が付着する。特に化膿部分ややけど部分で多く存在している。

10〜15%の塩分でも増殖できるため塩おにぎりでも増殖する。

冷凍、冷蔵しても長期間生存できるが菌自体は65℃の加熱で瞬時に死滅する。

菌自体が増えても問題はないが菌が作る毒素は10〜46℃の間で作られ蓄積していき6〜8時間で発症する量の毒素が作られる。

注意点

菌自体は加熱により死滅することができるが作られた毒素は無毒化できないため毒素を作る温度帯(10〜46℃)にしないか毒素が増える前に菌自体を死滅させることが重要。

未殺菌牛乳や素手で握ったおにぎりはすぐに食べるには毒素ができていないため問題はないが時間が経つにつれ毒素が作られる可能性が高くなるため注意する。

常温に放置したなどで毒素が作られた可能性のある食べ物は無毒化できないため廃棄する。

ウエルシュ菌

酸素が存在すると増殖できない

10〜48℃で増殖できるが43〜45℃が最も増殖しやすい温度

カレー、そばのつけ汁などを食べることにより感染する。

潜伏期間は8〜20時間(平均12時間)、発症は1日程度で症状は下痢、腹痛

芽胞を作り身を守るため完全な死滅は難しい。

カレーなどの鍋の底は酸素がなくなり、保存する際常温に放置しやすくウエルシュ菌が増殖しやすい環境が整っている。加熱中は芽胞を作っているため菌自体は死滅しないで一定数残り鍋が冷めてくると増殖を始め、毒素をつくる。

菌自体は50℃以上の加熱で死滅するが芽胞形成時は100℃6時間の加熱に耐えることがある。

ウエルシュ菌が作る毒素により食中毒が起こるが毒素は65℃10分間の加熱で破壊される。

注意点

鍋で煮込む料理を冷やす場合は鍋に外から氷や水道水を流し続け、増殖する温度を速やかに過ぎるようにして冷蔵する危険性が低下します。

芽胞

限られた種類の細菌にみられ温度などの変化により増殖ができなくなったときに休眠するため鎧のように胞子を作り菌自体が身を守ります。芽胞になった場合は増殖に適度な環境になると発芽して元の菌に戻り増殖を始めます。

芽胞は高温、凍結、乾燥、紫外線、放射線、殺菌剤などに強い抵抗性があり長期間生き延びることができ、加熱に対して強いため調理では死滅さることが難しく食中毒予防のためには発芽して増殖することを抑えることが重要。

ボツリヌス菌

酸素が存在すると増殖できない

10〜48℃で増殖できるが30〜40℃が最も増殖しやすい温度

あらゆる食品、保存食品、発酵食品などを食べることにより感染する。

潜伏期間は8〜36時間、症状は下痢、腹痛、嘔吐消化器症状、重症になると神経毒四肢麻痺、呼吸筋麻痺による窒息死することもある。

ボツリヌス菌が作る毒素により食中毒が起こり毒素は80℃20分、100℃2分の加熱で失活する。

自然界に多く存在し、あらゆる食材に菌が付着する可能性があり、芽胞を作り身を守るため完全な死滅は難しい。芽胞は120℃4分、100℃360分の加熱で死滅する。

注意点

蜂蜜には国産、外国産関わらず高確率でボツリヌス菌が混入しているが体内の細菌などにより感染することはないが1歳未満の赤ちゃんは体内の細菌環境が整っていないため蜂蜜を食べるとボツリヌス菌に感染しやすい。そのため蜂蜜のパッケージには1歳未満の子供に与えないように記載してある。

セレウス菌

酸素濃度関わらず増殖可能

10〜48℃で増殖できるが28〜35℃が最も増殖しやすい温度

自然界に多く存在し、あらゆる食材に菌が付着する可能性がある。

嘔吐型と下痢型があるが下痢型は少なく、どちらも症状は1日程度で回復する

セレウス菌が作る毒素により食中毒が起こるが毒素は高温にでも無毒化しない

芽胞を作り身を守るため完全な死滅は難しい。

嘔吐型

食品内で増殖し毒素生産したものを食べると発症

炊飯器に長期保存した米などを食べることにより感染する。

潜伏期間は1〜6時間(平均3時間)、発症は6〜24時間で症状は嘔吐

消化酵素では分解されにくいため下痢型より発症例が多い。

ご飯などの炭水化物の多い食品で菌が増加しやすく室温に長時間放置により起こる。

下痢型

菌が人の小腸内で毒素を生成して発症する。

あらゆる食材に付着しその食材などを食べることにより感染する。

潜伏期間は6〜16時間、発症は12〜24時間、症状は下痢、腹痛

菌や毒素は消化酵素で分解されるため嘔吐型より発症例が少ない。

注意点

あらゆる食材に付着する可能性があるため、増殖する温度に放置しないことが重要

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ノロウイルス

カキなどの二枚貝に多く存在しているが人のみに感染しその後体内で増殖する。人体に感染していない状態ではどんな条件であろうとほぼ増殖することがない。

感染者から二次汚染された食品や二枚貝の生食などを食べることにより感染する。

潜伏期間は24〜48時間、発症は1〜3日で症状は嘔吐、下痢、発熱

感染者のふん便、嘔吐物などに含まれるノロウイルスが一定数下水道施設を抜けて海に流れ、そのノロウイルスをカキなどの2枚貝が呼吸や食事により吸い込み体内に蓄積されていく。カキによる感染が多いため冬に多い。

感染源は感染者の吐物や糞便に多量に存在し、症状が軽快しても10日間ほどノロウイルス自体は排出される。感染力が強く数十個のウイルスで感染するため感染者が触れた食品や感染者の吐物を処理したものが触れた食品により感染することもある。

流水による手洗いで付着した菌は激減し、カキなどの食品は85℃90秒以上加熱で死滅させることができる。

ふきんや器具などの消毒は高濃度塩素(200ppm以上)が有効でアルコールはきかない。

注意点

近年目立っている食中毒で少量でも感染力が強く、人から人へも感染しやすい。食中毒は夏が多いがノロウイルスは冬に多く乾燥もありより感染しやすい。

生食のカキはノロウイルスの居ない海域で育てているが稀にノロウイルスが混入していることがあり、そのカキを食べることにより「カキにあたる」状態になる。

ヒスタミン(アレルギー物質)

魚などに含まれるヒスチジンがヒスタミン生成菌によりヒスタミンに変化して起こるアレルギー性食中毒。ヒスタミン自体は菌ではなくヒスタミン生成菌によって作られる物質。

中温性と低温性の菌が存在し、中温菌は夏頃活動し、低温菌は冬から初夏にかけて活動する適応温度は

中温菌が10〜40℃で増殖できるが30〜35℃が最も増殖しやすい温度

低温菌が0〜30℃で増殖できるが20℃が最も増殖しやすい温度

特に低温菌は2.5℃の低温でも多量にヒスタミンを作ることができ冷蔵庫内の温度である5℃でも5日以内に発症するほどの濃度のヒスタミンを作ることができる。

ヒスタミンを高濃度に保有した魚などを食べることにより感染する。

1時間以内に口のまわりや耳たぶが紅潮し、頭痛、蕁麻疹、発熱などの症状がでる。12時間以内に治る。

赤身の魚にはヒスチジンが多く含まれるためヒスタミンが高濃度に蓄積しやすい。

ヒスタミンは加熱調理では分解されない。

味見をして異変を感じたり、舌や唇などがピリピリするように感じた場合はヒスタミンが高濃度になっている可能性が高いため

注意点

赤身の魚にかかわらずヒスタミンを生成することがあり注意する。

冷凍することでヒスタミンの生成はされないが冷蔵保存中はヒスタミンが増えるため魚類は早めに食べるようにすること。

リステリア

酸素濃度関わらず増殖可能

0〜45℃で増殖できるが30〜35℃が最も増殖しやすい温度

塩分にも強く、自然界に広く分布している。

肉、野菜、低温保存した食品などを食べることにより感染する。

冷蔵庫内の温度でも増殖することができる。

潜伏期間は1日〜数週間、症状は倦怠感、発熱、髄膜炎、敗血症、流産

妊婦、小児、高齢者は発症するが健康な成人は発症しない。

注意点

冷蔵庫内でも増殖できるが、抵抗力の弱い妊婦、小児、高齢者が発症するため対象の人物がいる場合は十分に加熱するか調理後すぐに食べるように注意する。

エルシニア

0〜44℃で増殖できるが28〜29℃が最も増殖しやすい温度

自然界に広く分布していて、主に豚の腸管内に存在し食肉の処理工程などで食肉に汚染される。

肉、肉加工品などを食べることにより感染する。

冷蔵庫内の温度でも増殖することができる。

潜伏期間は2〜5日、発症は2〜3週間で症状は下痢、腹痛、発熱

注意点

主に豚肉が汚染されているため十分に加熱する必要がある。

腸管出血系大腸菌(O157)

酸素濃度関わらず増殖可能

7〜46℃で増殖できるが35〜40℃が最も増殖しやすい温度(10℃以下の食品中ではほぼ増殖できない)

毒素をつくり毒素により組織を破壊し出血を起こす大腸菌。毒素は80℃10分間の加熱により破壊される。

牛や鹿などの消化管内に存在し、食肉の処理工程などで食肉に汚染する。

生の牛肉、牛レバー、生の牛肉の二次汚染などを食べることにより感染する。

潜伏期間は1〜2日、発症は数日間で症状は下痢などさまざま、症状の出ない保菌者もいて、重篤化で死亡することもある。

菌は酸に強く、冷凍しても長期間生存するため死滅させるには加熱が必要。

注意点

主に牛肉が汚染されているため、新鮮なものを選びよく加熱することで感染を予防できる。

A型肝炎ウイルス

A型肝炎ウイルスに汚染された輸入品などを食べることにより感染する。

潜伏期間は2〜6週間、症状は黄疸、発熱、灰白色便、下痢、腹痛、吐き気

ワクチンにより予防ができるため海外に長期渡航する場合はワクチン接種をすることが望ましい。

A型肝炎ウイルスは60℃60分の加熱でも死滅しない。

85℃1分以上加熱することで不活化することができ、器具などは次亜塩素酸ナトリウム溶液などで不活化することができる。

注意点

日本国内で自然発生することは非常に少なく、稀にカキの生食で発生する。他にも発生原因は汚染輸入食材や発展途上国で感染した者が帰国し、その者により二次感染する場合がある。

E型肝炎ウイルス

豚、イノシシ、シカなどの生食により感染する。

潜伏期間は2〜7週間、症状は黄疸、発熱、嘔吐、腹痛など

E型肝炎ウイルスは発展途上国に多く見られるが日本でもイノシシ肉などで集団感染が発生している。

注意点

ワクチンおよび治療法はないため加熱や手洗いなどの予防が重要になる。

寄生虫

土壌や河川などの自然界に卵で存在し魚介や動物に食べられると体内で幼虫となり、それを人が食べることにより内臓で成虫となる。様々な種類の寄生虫があり食品の種類により特有の寄生虫が存在する。

菌やウイルスと違い肉眼で確認できるものもあり、一部見た目で発見することもできる。

野菜は輸入野菜に付着していることがあり、生食により感染する。淡水魚は全般的に寄生虫に汚染されていることが多く、生食や加熱不足により感染する。

アニサキス

海水魚はサバ、イカ、サケ、タラ、ニシンなどに寄生するのが有名で胃がん、胃潰瘍などの原因になっている。大きいものは肉眼で確認できる。アニサキスは60℃1分以上の加熱もしくは、-20℃24時間の冷凍で死滅する。

クドア

ヒラメにはクドアという寄生虫が存在している可能性があり、クドアは非常に小さいため肉眼では確認できず、ヒラメの刺身を食べることで感染する。冬は発症例が少なく9、10月に多くなる。比較的新しく発見された食中毒原因微生物のため、まだわかっていないことも多い。90℃5分の加熱か、-20℃4時間の冷凍で死滅する。ヒラメは生で食べることが多いため冷凍をするか、夏から秋にかけては食べないことが予防となる。マグロにも寄生していることがある。

他にもイワシ、ブリなどにも寄生虫は見られる。

ザルコシスティス

牛、豚、馬にはザルコシスティスが寄生していることがあり、加熱不足もしくは生食により感染する。60℃15分、70℃10分、100℃5分程度の加熱か、-20℃24時間の冷凍で死滅する。馬刺しの食中毒防止には-20℃48時間以上の冷凍の処理を行う。

旋毛虫

豚や馬、野生動物などに存在する寄生虫。欧米や北極に多いが日本国内産の豚肉からの感染例はない。日本での感染事例は熊肉の生食によるもの。加熱に弱いが-30℃に4ヶ月冷凍保存された肉でも感染した事例があるため冷凍には強い。

肺吸虫

モズクガニ、サワガニ、いのししの加熱不足、生食により感染する。淡水カニを使った韓国、中国、タイなどのエスニック料理の加熱不足により感染することがあるため注意が必要。

有鉤条虫、無鉤条虫

別名サナダムシとも呼ばれる寄生虫。豚や牛に寄生していて生食などで感染する。海外での感染や輸入品による感染が圧倒的に多く、国内感染は少ない。国内産の豚には検出例がないが牛には検出されることがあった。流通している国内産の豚肉、牛肉の感染は極めて低い。60℃5分の加熱で感染は予防できる。豚肉は-15℃を3日間、-24℃を1日冷凍で死滅させることができる。海外の流行地では生水、生野菜の食事を避ける注意が必要。

その他注意

肉は加工時に表面に菌の汚染があるが筋肉内は無菌状態になっている。しかし血管内に菌がいることもあり、時間が経つにつれて筋肉内にも菌が侵入する可能性が高くなる。日本で生産される食肉は法律により検査されているので寄生虫の感染はないに等しいが検査も隅々まで完璧にするわけではないため0%の保証はない。

寄生虫の症状は種類により様々あるが腹痛、下痢、嘔吐が多い、

寄生虫の感染予防には加熱、冷凍が有効で卵や成虫も60℃以上の加熱で死滅し、-20℃以下で48時間保存で死滅するとされている。しかし一部の寄生虫長期生存するものもある。

その他食中毒原因

毒キノコ

購入することは、ほぼないが自分で採ったキノコは注意が必要。(通常はあまり起こらないので省略。)

ふぐ

神経毒であるテトロドトキシンにより、少量でも呼吸停止により死にいたることもある。ほとんどのふぐには毒があり、血液や臓器に毒があり特に肝臓と卵巣に多く含まれている。筋肉には毒がない、もしくはとても微量なため正しい処理をすれば食べることができる。(種類によっては筋肉に多量の毒を持つものもいる。)毒素には解毒剤がなく効果的な治療法もない。

神経毒のため調理時手荒れや傷などがあるとピリピリとした刺激を感じる。

知識のないものが調理をすると危険なため、専用の調理免許があり、たとえ釣ったとしても決して食べてはいけない。

じゃがいも

じゃがいもの芽に多量に含まれる毒素ソラニンやチャコニンにより起こり、死亡することもある。芽以外にも皮にも多く含まれることがある。自家栽培や日が当たり緑色に色が変わった皮などは毒素が多く含まれている可能性があるので注意が必要。

毒素は苦味を感じるためじゃがいもに苦味が感じられたら食べないほうがいい。

以前詳しく調べてあるのでより詳しくはこちらへ

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青酸配糖体

未成熟の梅、もも、スモモ、あんずなど含まれる物質でそれ自体に毒性はないが食べることで体内で毒性の物質を作り出す元となり食中毒になる。特にタネに多く含まれるが何十個も食べない限り死亡することはない。完熟するごとに青酸配糖体は少なくなっていき、未成熟でも干したり、漬けたりすると時間をかけて青酸配糖体は少なくなっていく。梅酒は青梅を長時間漬け込むことにより青酸配糖体を分解し、安全な飲み物にしている。

その他化学物質

水銀、鉛、ヒ素、ダイオキシン、農薬、洗剤などに汚染された食物により起こる。

現代では法律や上下水道も完備され通常起こりえないが故意による事件や不測の事故などにより汚染食品が混入することもある。

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手洗いの重要性

食中毒の原因微生物の多くは人の手に付着し感染を広めていくため感染の予防には手洗いが効果的です。

流水のみの洗浄でも菌などの付着を減らすことはできますが洗剤を使い洗うことでより効果が高くなります。

洗い方

40℃前後の温水が望ましく、一度流水で肘から指先までよく洗ってから液体石鹸などを使いよく泡だて全体を洗う。ブラシなどを使い、爪の間やシワなどもよく洗う。時間は洗いを1分以上行い、すすぎを20秒以上行う。石鹸を使うところからの動作を2回繰り返す。洗い終えたらペーパータオルでよく水気をきり消毒用エタノール(アルコールスプレー)を全体にかけてよく揉み込む。ノロウイルスにはエタノール消毒の効果ないが石鹸で繰り返し洗うと数を激減することができる。

また洗う回数が多いとそれだけ菌の数は少なくなるが0にすることはできない。洗う回数は2回以上になると菌の減少が緩やかになるため2回の手洗いで十分に予防の効果はある。

食中毒予防の方法

加熱

全ての原因微生物に対して加熱はを死滅させる有効な処理である。加熱は芽胞を形成するウイルスを完全に死滅できないが増殖と毒素を作ることができなくなるため食中毒予防には効果的である。

一般的な加熱殺菌には「63℃以上の低温殺菌」と「100℃以上のほぼ無菌にできる高温殺菌」があり、どちらの加熱殺菌も原因微生物の数が多いと殺菌にかかる時間も数に比例するように長くなる。そのため原因微生物の増殖が疑われる食品を加熱する場合はある程度の時間で加熱しなければ食中毒を予防することはできない。

冷凍

加熱の他にも冷凍することで大部分の原因微生物を死滅させることができる。中には冷凍に強い原因微生物の存在するが一般的な原因微生物のほどんどは冷凍に弱く家庭用冷蔵庫の冷凍温度は-18℃以下のため、この温度で48時間程度冷凍するとほとんどの原因微生物は死滅していく。そのため原因微生物の増殖などが少なくなるため安全性が増し食中毒予防につながる。ただし冷凍状態や原因微生物の種類によっては生き残るものも存在し、解凍後の原因微生物の付着もあるため状況に応じて加熱などの正しい調理が必要になる。冷凍は刺身など生食に適している食材の場合は安全性が高まるが食感などに変化がおこるため使いどころが難しい。

重要な予防

飲食店、家庭に関わらず一番の予防は「原因微生物をつけない、増やさないこと」です。

そのため、出来た料理は増殖しやすい温度帯である10℃〜40℃に長時間ならないように室内に放置しないで火にかけ温め続けるか、氷水などを当ててかき混ぜながら内部まで冷やし冷蔵庫に保管することで原因微生物の増殖を抑えることができます。

もちろん肉類は生で食べず、加熱不足にも注意しより鮮度の高いうちに食べるようにしましょう。

例え冷蔵庫に入れていて0℃でも増殖する原因微生物はいるため、冷蔵庫の食材はできるだけ早く消費することも重要です。

おわりに

最初に食中毒は夏に多いと書きましたがノロウイルスなどの一部は冬に多く発生します。そのため時期に関係なく食中毒の予防は必要です。

日本国内で起こる認知度の高い原因微生物はほとんど記入しましたが書いて稀な原因微生物もたくさん存在します。

重要なのは知識よりも予防なので、この記事が食中毒予防の役に立てれば光栄です。

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