[解説画像]低温調理の調理方法とおすすめ食材

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難しそうな低温調理ですがコツさえ掴めば手間はかかりますが失敗せずに作れます。そんな低温調理の仕組みや基礎情報などを交えつつ調理方法を画像で説明します。

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低温調理とは

従来の加熱方法よりも低い温度で長い時間調理することにより肉などのたんぱく質が固くなりにくくなることで内部にある水分絞り出されなくなり、うまみを落とさず柔らかく仕上げる調理方法のことです。

ビニール袋やチャック付きの袋に入れて空気を抜き真空状態にして低温の湯につけ長い時間湯煎することで調理します。

低温調理と真空調理法

真空調理法はフランスで開発されたフォアグラを調理するために考えられた調理法で、食材と調味液等を真空にできるフィルムに入れ内部の空気を抜き真空状態にしてからスチームコンベクションオーブンなどで低温加熱します。食材は真空状態のため外部からの熱が伝わりやすくなり、同時にフィルム袋内で少量の調味液で味付けが行われるため材料の風味や旨味が無くならず均等な味付けと調理が可能になります。特に煮物などでは均等に味付けができ、調理効率もいいので大規模な集中調理施設で使用されています。

低温調理は真空調理法の総称および簡略化された調理方法と解釈されているようです。

低温調理の定義

低温調理は真空調理法の簡略化したもののためか正式な定義はないようです。元となる真空調理法の定義は材料に応じた時間と温度設定をして調理され、最高でも100℃を超えないというのが大雑把な定義のようです。(レトルトパウチを低い温度で作るようなイメージです。)

わかりやすく解説しすると

真空調理法=調理の技法の一つ

低温調理=低温で加熱して調理をする方法の総称(真空調理法も入る)

(弱火調理やコールドスタートも低温調理の一部と考えられます。)

真空調理法は真空にパックした状態で温度管理しながら調理するので器具としては温度計やスチームコンベクション、湯煎などの比較的複雑な業務用機械を使う方法のため、家庭で行うことは難しかったのですが、現在は小規模の湯煎で簡易的に家庭でも真空調理法ができる器具が発売されています。

機器についてはこちらにまとめておきましたので参考にしてください。

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低温調理に向いていない食材

・貝類

ノロウイルスなど60℃程度では死滅させることが難しい微生物が存在するため。

・豚肉

豚肉は食中毒原因菌が付着しやすく、60℃程度では死滅しない寄生虫が存在することがあるため。

・脂身の多い部位

脂身自体は加熱しても固くならず、ある程度高温で加熱したほうがおいしい場合が多いため。

・ブロック肉など大きな食材

中心まで加熱するのに時間がかかり食中毒の危険性が高まるため。

・野菜類

野菜は低い温度では柔らかくなりにくいため。味を染み込ませることには向いている。

低温調理のおすすめ食材と料理

・鶏ささみ

脂身と菌の汚染が少なく、低温調理をすることで柔らかくジューシーになる。

・鶏胸肉

脂身が少なく、ササミと同じく低温調理をすることで柔らかくジューシーになる。

・牛ヒレ

脂身が少なく、菌の汚染も少ないため。

・ステーキ

低温調理をしてから表面のみ焼くことでジューシーで柔らかいステーキなる。低温調理をする場合は脂身の少ないサーロイン、モモ肉、ヒレが向いている。

・ローストビーフ

通常の調理では加減が難しいが低温調理では簡単にパサつくことないジューシーなローストビーフができる。

・温泉卵

白身と黄身の固まる温度差を利用して作られるので低温調理によって作られます。

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調理方法

低温調理では肉のタンパク質が変性し固くなる温度の66℃よりも低い温度で加熱します。温度が低いほどに柔らかく水分を保った状態になりますが同時に食中毒の危険性も高くなります。初めのうちは不慣れから加熱不足になりやすいので鶏ササミ肉を63℃の温度で10分間の加熱で試してみるのが安全で味も通常の加熱との違いがわかると思います。

調理方法はいたって簡単です。ほとんど自宅にあるもので試すことができます。

63℃の加熱は厚生労働省で決められた基準でほとんどの細菌が瞬時に死滅する温度とされています。細菌は63℃で瞬時に殺菌できますが食材の中心部が63℃になるには時間がかかるため、鶏ササミ肉であれば中心部まで確実に63℃まで加熱できる10分間加熱します。

用意するものは

  • できるだけ厚みがあり、ある程度深さのある鍋(ステンレス、ホーローなどの保温性の高いもので蓋があるとよりいい。)
  • コンロ(卓上でもIHでもお湯を沸かすことができればいい)
  • ビニール袋(スーパーで貰えるような薄いものでも穴が空いていなければ可)
  • 調理用の温度計(あまり家庭にはないと思いますが1,000円程度の精度の高いものがいいです。)
  • ふきんなど(ある程度厚さがあればなんでもいい。)
  • 時計、タイマーなど
  • 鶏ササミ肉

食材は鶏ササミ肉がやりやすいですが鶏胸肉でも構いません。どちらの肉も通常の加熱ではパサパサになりやすいので低温調理をすると味の違いがわかりやすく、構造的に食中毒菌を殺菌しやすく扱いやすいためです。

ササミであればそのまま、胸肉であれば皮をとり加熱しやすいように厚さが均等になるように包丁で開きます。ササミのスジは加熱した後のほうが取りやすいため取らなくでも大丈夫です。
肉をビニールに重ならないように平らにして入れます。ササミなら3本くらい入ります。

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出来るだけシワを伸ばし空気を抜きます。鍋にたっぷり水を入れビニールに入った肉をそっと水に入れビニール内に水が入らないように注意しながら中の空気を水圧で抜いてビニール内を真空に近い状態にします。空気が抜けたら水から出しておきます。水に入れて気泡があれば水に手を入れて押し出します。f:id:SCcubed:20180803143448j:plain

ビニールの口は閉じても閉じなくても構いませんが真空状態を保てるようにしておきます。(このように空気が抜けます。)f:id:SCcubed:20180803143456j:plain鍋をそのまま火にかけ、温度計を入れて63℃になるまで待ちます。湯が沸いたらかき混ぜて温度を均一にして畳んだふきんを底に沈めます。このふきんは食材が鍋底に直接あたり当たった部分が過剰に加熱されるのを防ぐために敷くので蒸し台みたいなものでもできます。(ふきんではなく家に蒸し器台があったので使いました。)

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先ほど用意して食材を入れます。食材を入れると湯温が下がるのでかき混ぜながら63℃になるように火加減を調整し安定したら火を止めます。(温度が下がったので火にかけ袋を上下に揺らしかき混ぜています。)

f:id:SCcubed:20180803144046j:plainそのまま10分タイマーをセットして蓋をして見守りながら待ちます。63℃より低くなったらその都度火をつけ混ぜながら63℃になるようにします。

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10分経ったら湯から出して温かいまま食べるのであれば袋から出し、スジを取るなり調理をして食べます。(10分後こんな感じに見た目が変わります。)

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サラダなどに使い冷やす場合は湯から出したら袋のままボールなどに入れ上から氷を入れれば冷えるのである程度冷えたら冷蔵庫で保管します。(下に氷を敷きます。)

f:id:SCcubed:20180803144538j:plain(氷を被せて次のササミを重ねます。)f:id:SCcubed:20180803144542j:plain(上から氷をかけて全体を冷やします。冷えたら氷をとって冷蔵庫へ。)

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冷やして袋から出したところです。見た感じ潤っていて少しピンクっぽいです。
f:id:SCcubed:20180803145026j:plain真ん中の断面です。ちゃんと中心まで火が通っていて潤っています。f:id:SCcubed:20180803145032j:plain断面を軽く押すと汁が出てきます。f:id:SCcubed:20180803145034j:plain手で簡単にほぐすことができます。その時スジも簡単に取れます。(右下)

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今回の温度設定と時間は安全のため高めで長めになっていますが、それでも食べてみると今までのササミがなんだったのかと思うくらいに違いがあります。味はつけていませんがササミはなにも味付けしなくても十分に美味しく感じられると思います。

この設定で正しくできれば加熱不足になることはありませんが、もしササミを切ってみて中が赤いなどの加熱不足の場合は、ササミの鮮度が悪かったり、切り込みなどなければ内部に菌が入っていることはなく中が赤くても食中毒になる可能性は低いのですが、念のため一度加熱し直してください。

この調理例はより安全に低温調理を試す方法のため調理に慣れてきて食中毒の知識があればより低い温度で安全に調理することも可能です。

終わりに

難しそうな低温調理ですがコツをつかめば意外と簡単にできます。

温度と時間を変えると仕上がりも変わってくるので食中毒に気をつけながら色々と試してみてはどうでしょうか。

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