フランス料理の出汁の種類「フォン、ブイヨン、ジュ」の定義について

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フランス料理のだし汁のことを調べていると日本のだしの感覚ではわかりにくい分類になっていたのでわかりやすくまとめました。

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だしの分類

フランス料理のだしは濃度や使用目的によって呼び名が変わります。日本とはだしの使い方が異なり、コクや旨味を強く出すために使われます。

ブイヨン

牛の骨やスジなどが主体のだし汁のこと。スープのベースとして使われ、ソースとしては使われないためフォンとは明確な使い分けをされている。

コンソメ

だし汁のことではなくブイヨンに他の材料を入れ、丁寧に濾すことでより澄んだ液体にしたスープのこと。コンソメという名はスープの名前のことを指す。

フォン

肉、魚などを煮出した、だし汁のこと。魚を使うものはフュメと呼び名が変わる。主にソースのベースとして使われるが調理によっては調整を加えるとスープにも使うこともできるだし汁。材料には鮮度がいいものを使わないとにおいや味が悪くなる。特に魚介類はにおいが出やすいため鮮度のいいものを使う方がいい。

ジュ

こちらもフォン同様にだし汁と言われるが、細かい分類では素材が持つ水分を加熱して出した肉汁などの濃縮したエキスのこと。フォンに材料を足して煮詰めるようにして少量を短時間で作る。煮詰めたり、伸ばしたりするだけでソースになるような濃度のあるもの指す。

グラス

フォンやジュなどを煮詰めて濃くすることによりコクと旨みを増したとろみのある液体。冷やすとゼリーよりも固い煮こごり状になる。テリーヌやムース、フォンやソースにコクを足したい時などに使用される。

だしの種類

フランス料理のだしは主に白色と茶色のだしに分けれます。

白色系のだし

生のまま煮る方法と焼き色をつけずに焼いてから煮る方法がある。生のまま煮る方法は澄んだ液体になる。焼いてから煮る方法は濁った液体になるがコクが増す。色をつけたくない料理やソースに使用される。

フォンブランfond blanc(白色のだし)

主に仔牛(牛)、鶏、香味野菜で取っただし汁の名称で白色のだしであれば材料には幅がある。幅広い料理に使え主に白色のソースに使われる。フォンブランは白色のだしの総称とも言われるが特に材料を指定しない白色のだしの固有名称とも言える。

フォンドヴォライユ(鶏肉の白色のだし)

主に鶏を材料にした白色のだし汁のこと。フォンブランに比べて牛の骨を使わないため少ない時間で作ることができる。鶏肉を使う料理に使用する。ヴォライユは鶏のフランス語。

フュメドポワソン(白身魚の白色のだし)

1時間以下の短時間で作る白身魚のだし汁。肉系のだしとは違い風味が重要なため鮮度のいい魚を使わないと臭みが出てしまう。材料を生のまま煮出す方法と色づかない程度に炒めてから煮出す方法があり、生のままの方は澄んだフォンが取れ保存性がよくなる。炒めた方はコクが出るがフォンが濁りにおいが出やすい。魚介を使う料理に使用する。ポワソンは魚のフランス語。

仔牛の白色いだし

あまり使用されないが仔牛の骨などを焼き色をつけずに煮出しただし汁のこと。仔牛のだし汁は焼き色をつけるフォンドヴォーが通常使われる。

名前としては「フォンブランドヴォー」とされる。

その他白色のだし

野菜のだし汁、貝のだし汁などがあります。

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茶色系のだし

色づくほど焼いてから煮出しただし汁のこと。コクや旨味が強く色の濃い料理やソースに使用される。

フォンブルンfond brun(茶色のだし )

(白色のだしは綴りがblanc、茶色のだしは綴りがbrun。どちらも日本の発音はブランと発音しますが文章でわかりやすくするため茶色のだしは英語読みのブルンと表記します。)

主に仔牛(牛)、鶏、香味野菜で取っただし汁の名称で茶色のだしであれば材料には幅がある。幅広い料理に使え主に色の濃いソースに使われる。フォンブルンは茶色のだしの総称とも言われるが特に材料を指定しない茶色のだしの固有名称とも言える。

フォンドヴォー(仔牛の茶色いだし)

焼いた仔牛の骨などを長時間煮込んで作るだし汁のこと。現代のソースのベースとして主流になっている。

肉料理全般のソースベースとして広く使われる。ヴォーは仔牛のフランス語だが日本では仔牛自体を手に入れることが難しいため牛で代用することがあるが名称はそのまま使用される。

鶏の茶色いだし

あまり使用されないが鶏ガラなどを焼き色をつけて煮出しただし汁のこと。鶏のだし汁は焼き色をつけるフォンドヴォライユが通常使われる。名前としては「フォンブルンドヴォライユ」とされる。

その他茶色のだし

ジビエのだし汁、きのこのだし汁などがあります。

名称の法則

フォンドヴォーを例にするとフォンはだしの名前、ドは日本語の「鶏のだし」でいう「の」にあたる言葉と言葉を繋ぐ言葉、ヴォーは仔牛のフランス語の3つに分かれます。「鶏のグラス」であれば「グラスドヴォライユ」となります。

英語でのだし

ちなみに英語圏では出汁をストックまたはブロスと言います。ストックとブロスの定義に明確な違いはないようですがどちらもフランス語になるとブイヨンになるそうです。

明確な違いはないそうですが違いとして言われていることを記載します。

ストック

骨や肉、野菜で作るだし汁のこと。使い方や使う肉の違いによりスープストックやチキンストックなどと呼ばれる。

ブロス

肉や野菜で作るだし汁のこと。使う肉の違いによりチキンブロスなどと呼ばれる。

このことから主な違いは骨が材料に入っているかいないかで骨の入っているストックのほうが濃い出汁だと解釈できるようです。

また日本の出汁のことは日本食ブームのおかげか英語圏ではそのまま「dashi」もしくは「ダシストック」と言えば通じるそうです。

まとめ

フランス料理のだしは複雑に思えますが「だしの濃度」と「使う素材」によって変わるだけなので実際はあまり複雑ではありません。分類と種類さえわかればどんな「だし」なのか検討をつけることができます。

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